校友クローズアップ　 中西 正樹さん

2022年6月掲載
※所属・役職・記載内容等は掲載時期のものです

総合エンターテインメント企業 アミューズで入社後からサザンオールスターズのマネージメントを担当し、この業界では異例の若さでトップに就任された中西さん。本学でのご経験が今にどのように繫がっているのか、今後どのようなことに取り組んでいきたいのかについて伺いました。

大学2年の時に高校の同級生と、3週間くらいかけてアメリカ各地を回りました。いろいろな土地で多種多様な人の生活や思想に触れることで、自分自身の人生を悔いのない時間にしたいと痛烈に感じました。

その後も、行き帰りのチケットだけ取って宿は現地で探すという冒険的な旅行をしていました。自分の卒業旅行も同様のテンションでバスケットボールサークルのメンバーとアジアに行きましたが、みんなが海外初体験だったこともあり、未だに「これまでで一番記憶に残る楽しい旅行だった」と言ってくれます。旅行は、事前にイメージする喜び、行って体験する喜び、思い出す喜びを生みだしてくれますが、この三つの喜びを創り出したいという想いにおいては、エンターテインメントという今の仕事に繫がっていると思います。

サザンオールスターズとの出逢い、学んだこと

音楽を聴くことが大好きでした。サザンオールスターズのことは小学生の頃から知っていましたが、人生で初めてバンドのコンサートに行ったのは高校生の時です。それまで、両親に「第九」のコンサートに連れていってもらったことはありましたが、西宮球場のスタンド席で見たサザンオールスターズのステージに、「こんな世界があるのか」と衝撃を受けました。学生時代から、自分が生きている存在意義や人の記憶に残るということを考えさせられることが多く、人が発想することの更にその先にチャレンジをし喜び合いたい、今この世に一緒に生きる人々の心に自分が関わる何かを残したいという思いから、アミューズに就職しました。入社早々に担当マネージャーに就かせていただいたのがサザンオールスターズということで、凄くご縁を感じました。

サザンオールスターズは、私が入社する前から、言わずと知れた長きにわたり音楽業界の最前線を走り続けてきたアーティストです。社会全体がサザンオールスターズの動きに注目し、たくさんの一流のスタッフの方々がその活動を支えてくださっている中で、気持ちを高め合い、それを一つにしてプロジェクトを進めていくことは、そう簡単なことではありませんでした。

私自身はそれをずっと楽しいと感じていましたし、質やレベルは全く違いますが、人を喜ばせることを真剣にとことんやる、それは学生時代と通ずるモノがありました。アーティストやスタッフのプロフェッショナルな姿勢、常にファンの皆さまをイメージし思案する、人の気持ちを主役に置いた話し方や考え方、盛り上げ方に魅了され、「この人のためなら」と、自分の情熱がアップデートされていく毎日がとても刺激的でした。特に、桑田さんはアーティストとしてはもちろん、人間的にも尊敬する私の師です。

人は、様々な経験を通して人間関係が形成されていきます。時に、その関係づくりを美化しがちですが、その人間関係があった上で、どう成果を出せるかが仕事です。私が仕事においてこれまでずっと大切にしてきたことは、必ず何かの成果を出すということです。信頼の上に成り立つ人間関係は重要でありますが、それはあくまで成果を出すための土台であって、成果そのものではありません。自らが培ってきた土台をどう成果に昇華させるのか。どんな状況であれ、必ず一つの成果を出すことがまた新たな信頼を生み、強い人間関係を育んでいくのです。

無常観を感じさせてくれた龍谷大学

学生の頃は、一分一秒かけがえのない時間を無駄にしたくない、自分が存在している毎日に何かを残したいと思っていました。3年から大宮キャンパスに通っていましたが、時の流れを感じながら本願寺の本堂に座っている時間がとっても大好きでした。歴史の中で、魑魅魍魎の人間ドラマ、その一つ一つに喜怒哀楽からなる人生があったことを想起させてくれるドラマチックな場所でした。今自分がいるこの空なる時間を先人たちも感じていたと思うと、今を大切にしたいという気持ちが生まれてきましたし、自分はどうあるべきかを考えさせられた本当に貴重な時間でした。

次のエンターテインメントの形

仲間との関わりを強くし、繋いでいくことで、大きな力を生み出すのがエンターテインメントだと思います。時代の変化とともに、いろいろな社会課題にも向き合うことが重要になってきました。今後はエンターテインメントの力で、そんな課題を解決し明るい新時代を創っていきたいです。