校友クローズアップ  小山 力也さん

2017年9月掲載
※所属・役職・記載内容等は掲載時期のものです

校友クローズアップ

ベンチャーなのに退職金制度と終身雇用 
目指すは「100人・100億・100年」企業

クローバーラボ株式会社 代表取締役/CEO
小山 力也さん

(2004年 法学部卒業)

校友会報85号(2017年9月)より

19歳で学生結婚しました。学生時代は生活費のためアルバイトに明け暮れ、車での大事故もあって2年間留年。卒業後、転職を繰り返しました。

就職してからは営業系の仕事ばかりでしたが、何をやるべきかで迷っていました。そんなとき、とあることで家に引きこもり、そのときはじめてインターネットと向き合い、この分野で仕事をしたいと思いました。小さなIT企業に入り、営業しながら社長からIT用語や考え方など、すべてを教わりました。しかしリーマンショックもあって会社が傾き、社長と心中するか独立するか。結局仲間5人でITベンチャーを起業しました。29歳のときです。

営業は私一人で、他の4人はエンジニア。企業、団体のホームページや通販システム、不動産の検索サイトなどを下請け会社として制作していました。起業した09年は「ソーシャルゲーム元年」と言われた年です。〝ガラ携〟でのゲームがはやり出し、それなら僕らでも参入できると、自社サービスの制作に専念するようになったのです。当社の主力商品は14年に公開したゲームソフト「ゆるドラシル」です。以来、現在まで約600万ダウンロードされています。

クローバーラボはITのベンチャー企業なのに「1千万円の退職金制度、終身雇用」、HPには「100人・100億・100年」という言葉を掲げています。僕自身が苦しかった時代、誰かに助けてもらったり支えてもらった経験から、のびのびと永く安心して働くことができる環境を作りたかったからです。たしかに固定費がかかるリスクがすごくありますが、社員一人ひとりのモチベーションが大きく違います。

終身雇用というのも、社員のマインドにすごくいい影響を与えている。いわゆる ”昭和の会社“ ですね。ひと昔前は、日本の企業の仕組みが世界的に高く評価されていたのですから。

さらにベンチャーというと、カリスマ的経営者がトップダウンで会社全体を動かすのが一般的ですが、当社は逆。社員一人ひとりによる完全なボトムアップ型です。僕自身、上からああしろこうしろと言われるのが嫌だったからもありますが、「俺についてこい」というIT企業のカリスマ経営者の真似は、しんどくてとてもできません。

高収益企業のヤフーさんは、社員一人年間約8千万円の売上げです。ならばクローバーラボで100人100億は夢物語の数字ではなく、100年企業とは、常に世の中に必要とされる企業であれと思っているからです。

今年6月に開始した腕時計レンタルサービス「KARITOKE(カリトケ)」も好評です。5月に予約を募ったところ、1ヶ月で2千件の申し込みがありました。レンタル料は1ヶ月3,980円から19,800円です。主に20代~50代の幅広い層がターゲットです。

今、株式上場に向けて準備中です。さらに僕の代で東証一部上場まで、絶対にもっていきたい。それと同時に、次につながる経営者を育てたい。

母校からは今、24歳の新卒入社の社員が、がんばってくれています。龍谷大学の後輩が、営業部門に入ってくれると嬉しいなと思っています。

小山 力也(こやま・りきや)

1980年大阪府高槻市生まれ。1998年に法学部法律学科に入学し2004年に卒業。IT企業などに就職後、2009年にクローバーラボ(株)を神戸市で起業。現在、インターネットを活用したモバイル端末向けのゲームソフトの企画・開発・運営事業などを展開。資本金1億2840万円。従業員73名。本社は大阪市北区豊崎5-6-2。