2022年9月掲載
※所属・役職・記載内容等は掲載時期のものです
校友クローズアップ
舞台芸術を通して日本と世界を繋げたい
舞台芸術国際コーディネーター
中根 恵梨さん
(2018年 国際文化学部卒)
広報誌「龍谷」95号(2022年9月発行)より
芸術の道
5歳から学び始めたピアノとの出会い。この瞬間が舞台芸術に生きる道の始まりです。日本で生まれ育ったものの、音楽を通して世界中の芸術や歴史、文化を吸収し、同時に日本の芸術の現状に気づき始めました。芸術者・国際人としての自分をどのように芸術と日本に活かせるのか、直感的に「海外」が暮らす場所であり夢を実現できる舞台だと感じました。
芸術に携わる為、その国に暮らす人や社会、歴史を理解し伝える力を養わなければならない。そう思い、龍谷大学では様々な国の文化、宗教、異文化間コミュニケーション、フランス語を学び、日英仏のトリリンガルを目指します。そしてフランス・リヨンでの交換留学中に卒業後のプランを固めました。
「舞台芸術を通して日本と世界を繋げたい」
このプロジェクトを実行する為、卒業後モントリオールでキャリアを始めます。この地は8歳の時に「Cirque du Soleil」と出会った頃から決めていました。経験も知り合いもなかった為、現地では芸術祭や見本市に携わりながら、現状や課題、作品を「売る」「買う」という意味を学び、たくさんのアーティストや文化発信者と出会いました。モントリオールは他州と違いフランス語圏である為、独自の文化に対する想いが強く、経済と共に文化の発展も重要視しており、芸術市場が確立されている環境として日本と大きな違いを感じました。
自分らしく
19年末帰国。これまでの経験のおかげで様々な芸術祭や公演に携わることができました。渡欧計画がありましたが、コロナの影響で日本に留まることになり、芸術者としての役割について深く考える日々を過ごしました。幸い作品を海外へ発信するプロジェクトに関わることができましたが、同時に一刻も早く然るべき環境で自身の能力を磨かねばと感じ、22年始、欧州の中心地、ベルギーの大学院で文化マネジメントを学ぶことを決めました。
人との出会い、感謝、夢を想い続けること。どんな逆境でもこの気持ちを大切に、自分だけのタイミングを逃さないことが今の自分を作り上げてきた気がします。芸術者として生きることはどの国でも簡単ではありません。だからこそ「自分が何をしたいのか」が評価されます。まだまだ発展途上ですが、自分の人生を描いていきたいです。
中根 恵梨(なかね・えり)
18年国際文化学部国際文化学科卒業後、カナダ・モントリオールでフリーランスの舞台芸術者としてのキャリアを始める。カナダと日本の国際舞台芸術祭やマーケットのほか、主にコンテンポラリー・サーカスとダンスの国際プロジェクトに携わる。22年秋よりベルギー・ブリュッセル自由大学院で文化マネジメントを学ぶ。