校友クローズアップ 櫻木 厚子さん

2023年3月掲載
※所属・役職・記載内容等は掲載時期のものです

校友クローズアップ

充実した環境での演奏が楽しい

フィンランド放送交響楽団 トランぺット奏者
櫻木 厚子さん
2012年度 龍谷奨励賞受賞
(2001年 経済学部卒)

校友会報96号(2023年3月発行)より

校友クローズアップ 櫻木 厚子さん

高知県の中学高校で吹奏楽部に所属し、大学でも続けたいと吹奏楽コンクールの常連である龍谷大学に入学しました。練習ばかりの毎日でしたが、当時下宿をしていたので同じ環境の友人たちと食事を作ったり、話をするなど普通のことが楽しかったです。

龍谷大学で京都市交響楽団トランペット奏者の早坂宏明さんのレッスンを受け、京都市立芸術大学にトランペット専攻で進学したのですが、プロになると心で決めつつも、龍谷大学での日々や環境は恵まれていたと感じていました。

スウェーデン・イェーテボリ交響楽団の主席奏者であり、世界的なトランペッターのベンクト・ダニエルソンとの出会いから、イェーテボリ大学への留学を決めましたが、留学の1年前に交通事故に遭い大けがをしました。でも留学への思いは強く、懸命にリハビリを続けました。

数えきれないくらいたくさんのオーケストラのオーディションを受けましたが、ご縁がありフィンランド放送交響楽団に入団しました。定年までいられる楽団は初めてだったので感慨深いものがありました。フィンランド放送交響楽団は、オーケストラのレベルも高く、世界的に有名な指揮者のもとでの演奏は刺激もありますが、毎回楽しく演奏を続けています。

フィンランド放送交響楽団は福利厚生も充実しており、夏休みは6週間あります。休みの期間はトランペットを触らず休みを満喫する期間もあります。気持ちの切り替えをしつつ仕事ができています。毎週演奏会がありますので、その都度演目が変わり練習を重ねます。楽団でのリハーサルは1日に4時間。それ以外の毎日の個人練習も欠かせません。

コロナ、戦争の状況下での演奏活動

コロナ禍でコンサートがキャンセルになったこともありましたが、放送局のオケなのでTV生放送、無観客で毎週コンサートは続けていました。フィンランド政府の対応も信頼できるものでしたので、生活に不安はありませんでした。

昨年のウクライナへのロシア侵攻後、町の中には支援物資の集積場があり、至る所にウクライナ国旗が掲揚されるなど、とても身近に戦争を感じます。楽団として、ウクライナ人作曲家の曲をプログラムに取り入れたり、色々な場所で多数のチャリティコンサートを実施しています。

今後の夢

20年5月に予定されていた日本全国7公演のツアーがコロナの影響で中止となってしまったので、いつの日か日本公演が実現することを望んでいます。その際は龍谷大学の施設でソロ演奏会もしたいですね。

校友クローズアップ 櫻木 厚子さん
写真は2022年8月に憧れだったロンドンのBBCプロムスで演奏した時

櫻木 厚子(さくらぎ・あつこ)

龍谷大学では吹奏楽部に所属。01年経済学部卒業後、同年京都市立芸術大学にトランペット専攻で進学。その後、スウェーデンのイェーテボリ大学、ドイツのケルン音大に進学し、ドルトムント歌劇場の管弦楽団とフライブルクの南西ドイツ放送交響楽団で1年ずつインターンシップとして経験を積む。2009年から北欧の名門フィンランド放送交響楽団に入団、現在に至る。2012年度 龍谷奨励賞を受賞。