2022年3月掲載
※所属・役職・記載内容等は掲載時期のものです
校友クローズアップ
龍谷大学じゃなければ僕は世界チャンピオンになれていなかったと思う
ボクシング WBOミニマム級 世界チャンピオン
谷口 将隆さん
(2016年 文学部卒)
広報誌「龍谷」94号(2022年3月発行)より
人生で一番興奮した時間
11ラウンドが始まった時には、体力的、精神的にも疲労はピークに達していました。それでも、観客の声援に後押しされて、左ストレートが自然に出ました。その後はリングを降りるまでの記憶はありません。TKOで決まった時こそが「人生で一番興奮した」時です。
チャンピオンは強いです。逃げたり引いたりしたら一瞬にして飲み込まれます。挑戦者らしく戦えたことが勝ちにつながったと思っています。
全てを否定された敗戦からの成長
プロ1年目は全勝したものの、2年目は3回も負けを喫しました。負ければ、その試合のための準備が全否定されたことになります。プロでの敗北は重みを感じました。どうすれば勝てるか?を眠れなくなるまで考えるようになりました。
その時からは本当に成長したと実感しています。
めちゃくちゃ楽しかった渡邊久ゼミ
4回生で50単位を取得。ものすごく勉強しました。結果として全単位、80点以上でした。スポーツ推薦で入学しましたのでボクシング一色だと思っていましたが、ゼミのメンバーが皆、親しくて、学生生活と部活を両立することができました。龍大時代は本当に楽しかったし、印象に残っています。
ボクシング部のこと、そして龍谷大学現役生へ
主将になった4回生の時、同期がおらず、相談相手がいない中で人をまとめることの難しさを痛感しました。自分の試合に集中する中での後輩指導は対応能力が超過していたものの、他方では様々な良い経験を積むこともできました。
ボクシング部では個人戦でありながら、リーグ戦は団体戦なので、チーム一丸となって戦う良さがありました。大学生の間は部活を充分に楽しみ、今は無理をしてでも頑張ってほしいと思います。「努力は裏切らない」と言いますが、努力の仕方を間違えると、努力は平気で裏切ります。
失敗しても、何百通りのやり方を考えて限界まで突き詰めていくと、どれかに正解があります。自分がこれと決めたものは突き詰め、試行錯誤して頭を使って最後の最後まで考え抜きながら努力の仕方を考えてほしいです。
「俺は今ここで生きているぞ」と実感するボクシング
中学1年生の時に友達に誘われて始めたボクシング。やっていくうちに好きになり、高校2年生の時にインターハイに出場し、好きなことで大学にまで進学でき、好きなことで生かさせてもらっているので幸せなことだと思います。
自分が過ごしてきた道が少しでも違っていたら今の自分はなく、龍谷大学でなければ僕は世界チャンピオンになれていなかったと思います。
人生の中で、今ここで生きているという実感はそうはないと思いますが、試合で勝った時には「俺は今ここで生きているぞ」とすごく実感します。
これから世界チャンピオンとして、いろんな方の期待を背負って戦っていく中で、プレッシャーはありますが、そういう時こそ原点を忘れたくありません。「好きだからやっている」ということを。
(インタビュアー ボクシング部 先輩 真野義一 00年経営卒)
谷口 将隆(たにぐち・まさたか)
2016年龍谷大学文学部を卒業。 ボクシング WBOミニマム級世界チャンピオン。
21年12月14日、WBO世界ボクシング機構ミニマム級タイトルマッチにて、同級王者のウィルフレド・メンデス選手に挑み、11回TKOで勝利し、世界王者の座に輝きました。