校友KIKOU 全てのご縁への感謝を歌に込めて、皆様の支えになれたら

2024年2月掲載
※所属・役職・記載内容等は掲載時期のものです

井筒  日美 さん(法学部卒)
井筒  日美 さん(法学部卒)

井筒 日美 さん

卒業学部:法学部
所属ゼミ:国際法 田中ゼミ (田中則夫教授)

2005年に柴咲コウ「あどけない温もり」で作詞家デビュー。タッキー&翼「SAMURAI」で初のオリコン週間第1位を獲得。現在もハロー!プロジェクトをはじめアイドルやアニメ・ゲームなど幅広く活動中。2017年には大阪スクールオブミュージック専門学校で作詞講座の講師を務める。著書に『ゼロからの作詞入門』(ヤマハミュージックメディア)。

当時、法学部の女子は1割程度だったと記憶しています。同じ基礎ゼミの人達やサークル等の仲間で自然とグループが作られていったのですが、キャンパス内で女子は目立つのでほぼ全員が顔見知りになれたような気がします。言葉を交わす機会はなくても不思議な親近感を感じていました。

私は国際法の田中ゼミで学びました。和気藹々とした中にもメリハリのある授業で、物事の本質を見抜くための「洞察力や思考力を磨く」ことの大切さを教わりました。今になれば、若いうちからコツコツ積み上げる姿勢を習慣化できるように、という先生方のご指導だったのだろうなと感じます。発言は控えめで大人しく、勉強熱心とは言い難い学生時代でしたが(笑)、毎回レジュメの発表や提出課題があり、それを守ることで自然と継続の訓練になったと思います。

卒業後は一般企業に就職し、同時に作詞家を目指しました。2005年にコンペで柴咲コウさんのシングルのカップリング曲「あどけない温もり」が採用され、作詞家としての活動が始まりました。そこで感じたのは、〆切が非常にタイトだということ。思えばここに学生時代のレジュメ攻略が役立ってくれている気がします。白紙のWord原稿にとにもかくにも何か一言書き始める、とりあえず言葉を置いていくことで次のインスピレーションを促し、余白部分を減らしてプレッシャーを減らす…といった、学生時代に鍛えられた自分なりのノウハウでやりくりしてこれたと感じています。

また、前述の「洞察力や思考力を磨く」訓練も、作詞には必須だと身に沁みています。例えば、アニメやゲームの歌詞ではキャラクターの性格分析やセリフの裏側の真意を考察し、また、アイドルやアーティストの方々に書く場合は、ご本人の想いやファンの皆さんの想いに寄り添ってどこまで気持ちを掘り下げてゆけるかを大切にします。時間との勝負でもありますが、創作の折々で大学での経験が指針を示してくれていると実感しています。

今は亡き、田中則夫教授には大変お世話になり、深く感謝しております。作詞家として駆け出しの頃に我が事のように喜んでくださり、大学の広報誌にもお声をかけてくださいました。その時の対談で自己を振り返り、新たな目標が生まれ、勇気が湧いてきました。

昨年はコロナも落ち着き、何年ぶりかでゼミの友人と会食し、近況を語り合い、母校での思い出話に花が咲きました。恩師や大切な友人たちとの出逢いや、様々なご縁に助けられ励まされ今がある…そんな感謝を込めて、これからも聴いて下さる方々の日常や想いに寄り添った作品を紡いでゆけるよう、日々精進したいと思っています。