校友KIKOU 時代が変わってもご先祖様とご遺族が安心できる環境作りに尽力

2023年4月掲載
※所属・役職・記載内容等は掲載時期のものです

校友KIKOU 畑中淳承 さん
校友KIKOU 畑中淳承 さん

畑中 淳承 さん

卒業年:2008年、卒業学部:短期大学部社会福祉学科
所属サークル:宗教教育部
所属ゼミ:徳田ゼミ

西方寺副住職 恵心保育園園長

実家が寺院と保育所を運営しており、幼少の頃から父に「お前は父ちゃんと同じように佐賀の龍谷高校、そして京都の龍谷大学へ進学するんだぞ」と言われて育ちました。特に抵抗もなく、その通りにエスカレーター方式で進んできてしまったので、「学生時代に何を学んだのか?」と問われると、京都の街に住めた事、新しい友達ができた事…と学びとは関係ない出遇いや体験の方が多かったような気がします(笑)。何も学ばなかったわけではありませんが、「若かったあの時、もっとしっかりと学んでおけば良かったな」など、今になって思う事がたくさんあります。

私は今、実家の寺院の副住職と保育園の園長を兼務させて頂いております。
お寺も保育園も、時代に合わせて色んな問題や課題がありますが、中でも特に、解決していかなければならないと強く感じたニュースがありました。それは、「遺骨をわざと置き去る人が増加!?西日本で年間約40個、警視庁でも年間10個」という記事です。寺院運営しているものからすれば、見出しを見てその内容を容易に想像することができるものでした。

遺骨を置き去る…通常ではあり得ないことですが、その背景には、お墓を取り巻く環境の変化が影響していると思われます。核家族化が進み、例えば、分家のためそもそも入るお墓のことを考えていなかった、いざお墓を購入しようにも資金的に準備ができなかった、仮にお墓を持ってもその後の維持管理に不安があった…など、お骨を置き去った方にもきっと様々なお悩みや事情があって、やむを得ず遺骨を放棄されたのでしょう。

昭和から平成、平成から令和。変わるのは元号だけではなく、私たち一人一人のご先祖さまに対する心の変化も、大きな転換期を迎えているように感じます。これからの時代、お墓(遺骨)の事で悩まれる人はどんどん増えていくと思われます。「お骨をどうすればいいかわからない」「お墓を作る資金がない」など、そんな悩みを解決するべく、私は、故人の方のご遺骨が粗末にならないように、お寺の境内に無量寿堂を建立し、地域や県内外に向けてインターネット等で発信をしています。縁もゆかりもない遠い土地から依頼を受けることもありますが、遺族の方や故人に対しても安心できる環境作りに力を入れています。遺骨を置き去るような悲しい事件が起こらないよう、いち僧侶として、今後もこの問題に真剣に取り組んで参ります。